人、素材、料理を想う。ミシュラン常連の中華料理「慈華」田村亮介さんの歩む道

慈華田村さん お店・料理人紹介

2019年のオープン直後から連続してミシュランの星を獲得し続けている中華料理店「慈華(イツカ)」。田村亮介さんが手がける料理は、素材の味を最大限に引き出し、洗練された空間や器とともに提供される。中国の文化に敬意を払いながら、日本人の感性や食材を融合させた独自の中華料理。素材・人・料理を慈しむ「慈華」では、生産者から料理人まで、関わるすべての人々の想いが込められた一皿を心から味わうことができる。

「慈華」の基本情報と特徴

基本情報

  • 店名:慈華
  • ジャンル:中華料理
  • 開業:2019年12月
  • 所在地:〒107-0062 東京都港区南青山2-14-15 AOYAMA FUSION Bldg.2F
  • アクセス:地下鉄外苑前駅4番出口 徒歩3分
    地下鉄青山1丁目駅5番出口 徒歩7分
  • 電話番号:03ー3796ー7835
  • 座席・設備:ダイニングフロア20席、完全個室円卓8席
  • 営業形態:予約必須
  • 営業時間:火~日
    ランチ  12:00~15:00(ラスト入店13:00)
    ディナー 18:00~22:00(ラスト入店20:00)
  • 定休日: 毎週月曜日・他不定休
  • 平均予算:昼 15000円 夜 30000円
  • ウェブサイト:中国料理 慈華itsuka オフィシャルサイト

※2025年3月「慈華公式」「食べログ

メニューの特徴

伝統的な中国料理を基盤とし、日本の四季折々の食材を生かした繊細な一皿一皿がコース料理として提供される。田村さんは、名店や台湾で培った香辛料の使い方や火入れの技術を巧みに操り、素材本来の味を尊重しながら最大限に引き出すことを重視。濃淡や温度、食感のバランスにも細やかにこだわり、コース全体を通じて緻密な調和と余韻を演出する。

予約方法

慈華の公式サイト、もしくは食べログから予約可能です。
慈華 – TableCheck (テーブルチェック)
慈華 (itsuka)のご予約 – 外苑前/中華料理 | 食べログ

田村亮介さん 豊富な知識と理論の実践者

田村亮介さんは1977年生まれの料理人。町中華を営む両親のもとに育ち、自然と料理の道を志すように。転機となった「麻布長江」での修行では、あらゆることに「なぜ」を問い続けられる日々を送り、思考することの苦しさを乗り越えながら、洗練された技術と理論を身につけた。その後台湾で直面したのが、「なぜ日本人の自分が中華料理をつくるのか?」という問い。その答えを追い求めながら、今もなお料理と向き合い続けている。

料理人の基本情報

氏名:田村亮介
生年:1977年
出身地:東京都
肩書:慈華
独立:2019年 慈華
主な経歴:
・1977年 東京都出身。高校卒業後、調理専門学校へ。
横浜中華街 広東名菜「翠香園」他都内数店を経て、四川菜「麻布長江」へ
・2005年 台湾の四川料理店・精進料理店にて修行。
・2006年 麻布長江「香福筵」料理長に就任。
・2019年12月南青山「慈華 itsuka」開店
・2020年12月「ミシュランガイド東京 2021」一つ星店として掲載
・2021年2月「ゴ・エ・ミヨ 東京 2021」3トック獲得店として掲載
・2021年12月「ミシュランガイド東京 2022」一つ星店として掲載

田村亮介さんの料理哲学と人生観

中華の家庭に育ち、料理の道へ

田村さんは、町中華を営む両親のもとで育ち、自然と料理に親しみながら過ごしてきました。高校時代には一度、音楽の道を志すものの、将来を見据えたとき自分の原点である料理に立ち返ります。父の助言も後押しとなり、まずは横浜中華街の店で修業を始めます。
22歳のとき、西麻布の名店「麻布長江」で師と呼べる存在に出会います。これが田村さんにとって大きな転機となりました。

「なぜ」を問う日々、そしてスイッチが入った瞬間

「麻布長江」での日々は、それまでとはまったく違ったものでした。技法、調味料、食材の選び方など、すべてに理由や根拠を求められる環境。感覚だけで料理をしてきた田村さんにとってその問いは厳しく、新鮮でありながらも辛いものでした。理論を突き詰める日々の中で、一度はその重圧に耐えきれず、現場から離れようとしたこともあったとのこと。しかし、思い直して再び厨房に立ったその瞬間、田村さんの中で料理人としてのスイッチが本当の意味で入ったと話します。

中国料理に向き合う旅、台湾での気づき

28歳で田村さんは台湾に渡ります。歴史や文化、地域性を肌で感じることで、より深く中国料理に向き合いたいという思いからでした。

「中国料理は、日本人が思っている以上に中国人にとって宝である。」

中国料理は、中国の人々にとって単なる食文化ではなく、誇りであり、心の拠りどころでもある。他国のひとつの料理として軽々しく扱っていいものではないと田村さんは考えます。そのうえで、日本人だからこそできる表現があるとも感じています。他国の文化を敬い、繊細に汲み取りながら形にしていくこと。それは日本の文化や歴史のなかで育まれてきた感性であり、中国料理の魅力を損なうことなく伝える可能性を持っている。その役割を丁寧につないでいくことは、未来の日本にとっても大切な営みであると田村さんは語ります。

慈華 田村さん

「味道」とは、想うこと

田村さんが大切にしているのは、「考えること」と「想うこと」が一体となった料理の在り方です。

「お客様に喜んでもらうために僕らは料理をつくっている。これは絶対に忘れてはいけないし、それがすべてのベースです。食材のこと、相手のことを常に考える。それが料理。何も考えずに作ったものは、ただの作業でしかないと思うんです。料理にはぬくもりがあり、温度があり、はかなく消えていくものだからこそ、食べ手のことを『想って』いたい。」

田村さんの言葉からは、料理に向き合う姿勢と、食べ手への深いまなざしがにじみ出ています。料理とは、頭で考え、心で想い、手で伝えるもの—慈華の一皿一皿に、田村さんの想いが込められています。

味道|インタビュー 田村亮介(慈華)

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