地域と素材にとことん向き合う。「アル・ケッチァーノ」奥田政行さんの歩む道

お店・料理人紹介

2000年、自然豊かな山形県鶴岡市にオープンしたイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」。地元食材をふんだんに使用したメニューでは、オーナーシェフである奥田政行さんの物語を堪能することができる。地元の生産者と協力し、いち早く地産地消の概念を体現してきた奥田さんは、鶴岡市の日本初となるユネスコ「創造都市ネットワーク(ガストロノミー部門)」認定にも貢献。素材と向き合い、素材の良さを最大限に引き出された味を求め、遠方からも多くのお客様が訪れる。

アル・ケッチァーノの基本情報と特徴

基本情報

  • 店名:アル・ケッチァーノ 本店
  • ジャンル:イタリアン開業:2000年
  • 所在地:〒997-0806 山形県鶴岡市遠賀原字稲荷43
  • アクセス:JR羽越線鶴岡駅より車で約15分 鶴岡駅から3,704m
  • 電話番号:0235ー26ー0609
  • 座席・設備:36席・個室無(全席禁煙)
  • 営業形態:予約可
  • 営業時間:ランチ11:30-15:00 (13:30L.O.)/ディナー18:00-22:00 (20:30L.O.)
  • 定休日:月曜日(祝日の場合、翌火曜日)
  • 平均予算:ランチ 6000円~ ディナー10000円~
  • ウェブサイト: オール・ケッチァーノ

2025年4月現在 「オール・ケッチァーノ」「食べログ

メニューの特徴

地元・庄内の豊かな自然に育まれた魚介や野菜、米や肉を中心に構成されるコース料理が特徴。奥田さんは、食材の個性を見極め、塩やオイル、低温調理を駆使しながら、シンプルかつ繊細にその魅力を引き出していく。すべての皿に生産者とのつながりと風土の香りが宿り、「庄内のテロワール」をイタリア料理の手法で表現。地域への深い愛情と食材への敬意が、奥田さんならではの温かさとともに感じられる。

予約方法

食べログから予約可能です。
・食べログ 「アル・ケッチァーノ

奥田政行さん 素材と地域に向き合う庄内テロワールの体現者

奥田さんは1969年生まれの料理人。東京での修行を経た後、地元である山形県鶴岡市でお店を開業。150万円という資金で始まった「アル・ケッチァーノ」は当初、100円ショップの食器を使ったり、山にハーブを取りに行ったりと苦難の連続であったとのこと。しかし、奥田さんならではの視点で庄内の食材を捉え直し、「地産地消」「庄内のテロワール」を体現した料理が徐々に評価され、日本を代表するイタリア料理店となっていく。山形大学農学部の江頭(えがしら)宏昌さん(当時、准教授)と協力し、消滅しかけていた在来作物の保存や継承にも尽力。日本で初めてとなる鶴岡市の「ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化部門)」の認定にも貢献した。素材に向き合い、素材の味を引き出す方法を科学的にも探究し続ける姿勢が評価され、世界中のシェフが鶴岡の地に勉強に訪れる。

料理人の基本情報

氏名:奥田政行
生年:1969年
出身地:山形県鶴岡市
肩書:アル・ケッチァーノ オーナー兼シェフ
独立:2000年 アル・ケッチァーノ
主な受賞歴:
2009年 鶴岡市農業発展奨励賞
2015年 鶴岡市市政功労賞を受賞
2016年 天皇皇后両陛下に「第 36 回全国豊かな海づくり大会」においてメッセージを発表
2018年 農水省地産地消優良表彰
2020年 日本の食文化の振興に大きく貢献した事が評価され「文化庁長官表彰」を受賞
2021年 日本酒を世界へ広める活動をしてきた事で日本酒造組合より酒サムライに任命
2023年 世界的美食ガイド「ゴ・エ・ミヨ 2023」にてテロワール賞を受賞
出版書籍の受賞歴もあり、近年は 『パスタの新しいゆで方 ゆで論』がグルマン世界料理本大賞 2022 で 2 部門受賞し、「シングル・サブジェクト部門」ではグランプリを受賞主な著書:
2009年 『奥田政行の食材スーパーハンドブック:「おいしさ鮮度」がひと目でわかる天才シェフの目利』 小学館
2009年 『田舎町のリストランテ、頑張る。山形・庄内』 マガジンハウス
2010年 『人と人をつなぐ料理:食で地方はよみがえる 』 新潮社
2011年 『アル・ケッチァーノ奥田政行のちゃちゃっとイタリアン 素材を生かす塩使いマジック 』 小学館
2012年 『アル・ケッチァーノのパスタ 』 小学館
2013年 『アル・ケッチァーノ式経営術 』 日経BP社
2015年 『地方再生のレシピ 食から始まる日本の豊かさ再発見 』 共同通信社
2020年 『ゆで論』

奥田政行さんの料理哲学と人生観

なぜを繰り返した修行時代

両親が営む飲食店の調理場を通って通学していた奥田さん。料理の道に入ることは自然なことだったと話します。東京のお店で始めた修行では「分からないことは20回以上質問し」、奥田さんは帰りの電車まで先輩に何度も質問をすることで、必死に喰らい付いていきました。

「何もわからなかったのがよかったんです。調理をする中でなぜだろうと考えていくと結論が出てきた。」と奥田さんは当時の修行時代を振り返ります。

自分を厳しい環境に追い込むことで成長できると考えた奥田さんは、あえて厳しい飲食店を志願し自らを鼓舞。一つ一つの工程についての「なぜ」を繰り返すことで、調理技術と理論を身につけていきました。

日本人に合うイタリアンとは?

2000年、故郷である山形県鶴岡市で独立し、「アル・ケッチァーノ」を開業します。100円ショップで買ったお皿、山でとったハーブで始めたお店では、生産者の方と物々交換で食材を集めたと話します。庄内地方の食材を使用していく中で、日本とイタリアの気候の違いを認識した奥田さん。日本の食材に適した調理法を模索し、実践していきます。

「日本人の遺伝子に合う、見た目はイタリア料理の顔をした料理」

庄内の食材の味を最大限に引き出すための調理法とその独自の考えが、お客様の舌と心をつかんでいきます。

飲食店がになう、未来への役割

奥田さんの元には生産者の方がよく相談に訪れるそうです。「域外に売ることができない」「後継者がいない」といった様々な相談に奥田さんは親身に寄り添い、食材を3倍の値段で売ってきたこともあったとのこと。後継者もついた生産者さんが喜んでいるのを見て、奥田さんは周りの人を幸せにすることが自らの幸福論であると感じてきました。多くの弟子たちの育成にも注力し、持続可能な未来を目指しています。

「飲食店は農林水産業や一次生産者、大学の教授からお客様まで全ての人に関わることのできる崇高な仕事です。」

「僕にとって味道とは、人の未来を変えられる力のあるものです。食べ物によって人々により良い未来を作ることができるものだと思います。」

味道|インタビュー 奥田政行さん(アル・ケッチァーノ)

味道 -MIDO-とは?

mido味道

「味道 -MIDO-」は、日本を代表する料理人たちが仕掛ける新しい動画配信サービスです。
「日本の食文化の継承と発展」を目的とし、食を愛する方々に向けて一流の技やレシピ、哲学に関する動画を配信しています。
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