銀座「てんぷら 近藤」と料理人・近藤文夫の歩み
銀座「てんぷら 近藤」は、日本を代表する天ぷらの名店。店主・近藤文夫さんは、魚介中心の江戸前天ぷらのなかで、素材の色・香り・味を引き立たせた野菜の天ぷらを生み出し、今日の天ぷらのあり方を切り拓いたまさに第一人者。ミシュランを連続で獲り続ける近藤さんの天ぷらを食べに、世界中の人が「てんぷら 近藤」に訪れる。
1. 「てんぷら 近藤」基本情報と特徴
1.1. 基本情報
- 店名:てんぷら 近藤
- ジャンル:天ぷら
- 開業:1991年
- 所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座5-5-13 坂口ビル9F
- アクセス:東京メトロ銀座線・東京メトロ丸ノ内線・東京メトロ日比谷線「銀座駅」より徒歩5分
- 電話番号:03-5568-0923
- 席数・設備:25席(カウンター)、個室無、貸切不可、全席禁煙、駐車場無
- 営業形態:予約可
- 営業時間:昼 12:00 ~ 15:00(13:30) ※12:00~/13:30~の二部制
夜 17:00 ~ 20:30 ※開始時間(17:00~/18:00~/19:00~/20:00~)
4つの開始時間でいずれも2時間制
※()内の時間はラストオーダーの時間です。 - 定休日:日曜日(月曜日が祝日の場合休)
- 平均予算:昼10,000~ 夜20,000~
- 外部評価:「ミシュランガイド東京」にて2008年より連続2つ星獲得、食べログ4.06、食べログ百名店2023/2023″
- ウェブサイト:https://tempura-kondo.com/
1.2. メニューの特徴
「てんぷら 近藤」の天ぷらは、軽やかな衣と素材の旨味を引き出す技術が特徴。油を吸い込みすぎないよう、衣を薄く仕上げ、素材そのものの色や香りを際立たせる。「天ぷらは蒸し料理である」という見地にたち追求してきたその技術は、食べる人にそれまでとは全く異なる「天ぷら」の世界観を見せる。
素材それぞれにあった独創性のある天ぷらも近藤さんの特徴であり、にんじんの千切りをバラバラにして寄せ揚げのようにした「にんじんの天ぷら」や、切り株のように太いさつまいもを約30分かけてじっくり揚げ甘味を出した「さつまいもの天ぷら」などが代表作である。
1.3. 予約方法
電話またはインターネットで予約が可能。
予約可能サイト:MY CONCIERGE JAPAN、JPNEAZY(2024年11月時点)
2. 近藤文夫さん 天ぷらに人生をかけた料理人
近藤文夫さんは、1947年東京都生まれの天ぷら職人。高校卒業後、「山の上ホテル」の「てんぷらと和食 山の上」で修業を始め、23歳という若さで料理長に抜擢。20年以上同店で腕を奮う。1991年、銀座に「てんぷら近藤」を開店し独立。独自の探究心で天ぷらの新たなスタイルを探求し続けている。
その技術と功績は国内外から評価されており、2019年には天ぷら職人として初めて「現代の名工」に選出。後進の育成にも力を注ぐ姿勢が評価され、2023年にはミシュラン「メンターシェフアワード」を受賞。著書やテレビ出演を通じて天ぷらの魅力を発信し続けており、次世代に技術と哲学を伝えることを使命とする。
2.1. シェフの経歴・受賞歴
出身地:東京都
所属・肩書:「てんぷら 近藤」店主
独立:1991年に「てんぷら 近藤」を開店
主な修行先:山の上ホテル「てんぷらと和食 山の上」
主な経歴:
御茶ノ水 山の上ホテル「てんぷらと和食 山の上」料理長
銀座「てんぷら近藤」店主
受賞歴 :
・2019年 「現代の名工(※1)」を天ぷら料理人として初めて受賞
・2023年 「メンターシェフアワード(※2)」を天ぷら料理人として初めて受賞
著書:
・『天ぷらの全仕事: 「てんぷら近藤」の技と味』(2013)
・『食べることは、生きること 世界一のてんぷらをあげる』(2014)
・『「てんぷら近藤」主人のやさしく教える天ぷらのきほん (おうちで作れる専門店の味)』(2017)
・『完全版 「てんぷら近藤」主人のやさしく教える天ぷらのきほん』(2024)
出演歴 :
・「ごはんジャパン 冬の日本海 庄内沖の幸で贅沢天ぷら」(2019/2/16)
・「情熱大陸 近藤文夫(天ぷら職人・#1101)」(2020/5/3)
・「ごはんジャパン 江戸前天ぷらの匠 技の競演!」(2020/5/23)※1 現代の名工とは
1967年に設けられた、各分野で卓越した技能を持つ者に日本政府(厚生労働大臣)から与えられる名誉賞。
※2 メンターシェフアワードとは
ミシュランガイド・ブランパンより与えられる、自分の仕事やキャリアが手本となり、後進の育成に力を注ぎ、指導者として熱意を持って助言し、レストラン業界の発展に貢献する料理人やシェフに贈られる賞。天ぷら近藤はミシュランガイド東京 2024にて受賞。
3. 近藤文夫さんの料理哲学と人生観
23歳で山の上ホテル「天ぷらと和食 山の上」の料理長に抜擢された際、「天ぷらを一つの料理のジャンルとして世界に広めるためには、どうしても野菜の天ぷらをとりいれる必要がある」と考え、そこから天ぷらの道の追求が始まります。
当初はお客様の反応も悪く、「こんなものは天ぷらじゃない」とお叱りを受けたことも多々あったとのこと。そういった声に耳を傾けながらも、自分の軸をぶらさず探究を続けることで現在の天ぷらの形を生み出したと話します。
『もともと天ぷらは油で揚げて水分をなくし、素材の味を凝縮させるものとされていたんですが、私は「天ぷらは蒸し物」だと思っているんです。油の熱と水分を利用して素材のうまみを引き出すのが私の天ぷら。従来とは発想を変えたんですね』
(大和書房「一流の本質」より)
これまでにない香りや味を生み出す近藤さんの天ぷらは徐々にお客様を魅了し、料理長就任時の月商100万円未満から最終的に年商3億円のお店に成長させることができたとのこと。その中には、著名な文化人である池波正太郎さんや土門拳さんとの交流や支えも大きかったと近藤さんは話します。
同店の素晴らしい成長もありホテルからの強い引き留めもあった中、近藤さんは43歳で独立。銀座に「てんぷら 近藤」を開業します。
『天ぷらをもっともっと世の中に広めたい』
自由に価格を設定することで若い人に食べてにきてもらったり、より柔軟に農家との契約を結んだりするためには、独立することも必要だという決断でした。今もなおその考えは一貫しており、技術の披露を惜しまないこと、高いお酒は置かないこと、など近藤さんの言動の全てにその想いを感じとることができます。
現在の「天ぷら」のあり方に大きな影響をあたえ、世界中の美食家や料理人から愛される名店を築いてきた近藤文夫さん。近藤さんの仕事に対する考えや姿勢には学ぶことが多くあります。
『仕事は決して一日ではできない。何十年もかけて自分の仕事を全うさせていくことが仕事である。素材の勉強もしなくてはならない。あらゆるものをやっていくことがやはり仕事の完成だと思う。でも私の将来というのは、自分ではなくて次の世代のことを考えてあげる(ことにあります)。考え方、技術、そういったものを次の世代にどうしたら、私たちが橋をかけてあげられるかということでやっている。天ぷらをもっともっと世間に知ってほしい。ただそれだけなんですよ。』
『一人ではできない。みんながあっての天ぷら。生産者がこれだけのことやって頑張っておいしくできた。我々がそれに対して20%以上のものを発揮させて揚げていく。お客様においしいと本当に言ってもらうこと。それが私たちの天ぷらですよ』
※味道-MIDO- Webサイトで近藤さんのインタビュー動画を公開しています。無料会員登録のみで視聴可能ですので、ぜひご覧ください。
味道 -MIDO-とは?
「味道 -MIDO-」は、日本を代表する料理人たちが仕掛ける新しい動画配信サービスです。
「日本の食文化の継承と発展」を目的とし、食を愛する方々に向けて一流の技やレシピ、哲学に関する動画を配信しています。
無料登録で50本以上の動画が視聴可能ですので、料理人から学びを得たい方、食べる前にシェフの考え方を知りたい方など、是非一度サイトをご覧ください。
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